ご真言とは
- ご真言は、マントラ(サンスクリット語)のことを指し「仏の真実の言葉、秘密の言葉」という意味。
- 教経典に由来し、浄土真宗を除く多くの大乗仏教の宗派で用いられる呪術的な語句。
- 仏の言葉を音写したもので、真言を唱えることで効果を享受することができる。
四天王とは
- 古代インドの神インドラ(帝釈天)に仕え、東西南北に配置され仏を悪から守る守護神のこと。
- 守護神として、仏では救いきれない衆生にもご利益を授け救済してくれるとてもありがたい神様。
- 東を守る持国天、南を守る増長天、西を守る広目天、北を守る多聞天と担当が決まっている。
- 四天王に共通する特徴は皆甲冑を着ており、怖い顔で岩や邪鬼の上に立っている。
- 広目天以外は武器を持っているが、広目天は武器ではなく筆と巻物を持っている。
- お寺の入口の門によくある「二天門」は、この四天王の中の2人の神様が守っているということ。
四天王とご真言
一:持国天[じこくてん]
持国天とは
東の方向を守る神様。
サンスクリット語では「ドリタラーシュトラ」と言い、国を支え持つ者を意味する。
持国天の梵字
ヂリ
ご真言/マントラ
おん・あろりきゃ・そわか
見た目の特徴
剣や金剛杵(こんごうしょ)を持っている。
※金剛杵とは、密教で、煩悩を砕き、菩提心を表す金属製の法具。
役割
【国を支える】
国を支える者として、悪を断ち、人々の心の平和と安寧を守る役割を担っている。
二:増長天 [ぞうちょうてん]
増長天とは
南の方向を守る神様。
サンスクリット語では「ヴィルーダカ」と言い、増大した・成長した者を意味する。
増長天の梵字
ビ
ご真言/マントラ
おん・びろだきゃ・やきしゃ・
ぢはたえい・そわか
見た目の特徴
戟(げき)と呼ばれる鉾のような武器を持つ。
役割
【恵みを増大させる】
「恵を増やす」とは、豊かさを与えること。「五穀豊穣」とは、米、麦、大豆、野菜、果物など、すべての穀物が豊かに実ることです。これは、人々の生活に欠かせない食料が豊富に得られるという意味であり、幸せと豊かさの象徴である。
三:広目天 [こうもくてん]
広目天とは
西の方向を守る神様。
サンスクリット語では「ヴィルーパークシャ」と言い、様々な眼を持つ者、あらゆるものを見通す眼を持つ者を意味する。(千里眼)
四天王で唯一武器を持たず、筆と巻物を持っている。
広目天の梵字
ビー
ご真言/マントラ
おん・びろばくしゃ・のうぎゃ・
ぢはたえい・そわか
見た目の特徴
武器ではなく、筆と巻物を持っている。
役割
【世界を広く見通す目を持つ】
千里眼のような鋭い眼で世界を見つめ、仏の教えとその信奉者しんぽうしゃを守護する存在。仏教の教えに背く者や敵対勢力を捕らえ、人々の苦悩を和らげ、真理の道へと導く役割を担っている。
四:多聞天[たもんてん]
多聞天とは
北の方向を守る神様。
サンスクリット語では「ヴァイシュラヴァナ」と言い、多くのことを聞き、言葉を逃さずに聴く者を意味する。
多聞天は、七福神の一つである毘沙門天として崇拝されている。
多聞天=毘沙門天(びしゃもんてん)のこと。※七福神でも武将のような身なりをしている。
多聞天の梵字
ベイ
ご真言/マントラ
おん・べいしらまんだや・そわか
見た目の特徴
右手に宝塔、左手に棍棒を持つ。
役割
【仏教について多く聞く】
人々の願いや苦悩、祈りを聞き入れ、その声に応える役割を担っている。
毘沙門天としては、五穀豊穣、商売繁盛、家庭の安全、長寿、そして成功への道をもたらす現世の利益を授ける存在として信仰を集めている。
四天王のまとめ
ご真言は唱えると願いが叶うと言われているが、今回まとめてみて感じたのは、願い事が叶う存在と言うより、苦難にぶつかったときや迷いに立ち止まったとき、それによって生まれる苦悩から救いだし、正しい道を照らしてくれるような存在なのだということ。
あくまで自分の力で未来を切り開くことが大切であり、仏様はその手助けをしてくれるのだ。
お寺で護摩行を見ると、最後に「毎日ご真言をお唱えください」と言われることがある。まさに、毎日唱えることで心を静め、自らの迷いや苦悩の正体を自覚し、新たな道を見つけ出せるのかもしれない。
ご真言や仏様、と言うとちょっと敷居が上がってしまうけれど、古来から人々が編み出した「心の整頓術」なのかもしれない、と思うとぐっと身近に感じる。